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狭い空

一所懸命なにかをやっている時、ふと虚しくなることがある。
死んでしまえば全て同じなのに何をこんなに張り切っているのだと。
出来ればなるべく張り切りたくない。夢中になっている時にふと馬鹿馬鹿しくてたまらなくなる。
数年前、病気でしばらく自宅療養をして寝ていた。病気のせいなのかどうやってもやる気がでない。当時は生涯の目標を喪失して文字通り何も出来なかった。

その時、なんとかやる気をだす方法を編み出した。自分の葬式の場面を思い浮かべるのだ。まず病院で死亡が宣告される。周囲の家族は押し黙り悲しむが、裏では葬式の準備を迅速に整える。私は鼻に綿を詰められて少々ユニークな相貌になる。
私は火葬されて炉の中で水分が抜けてスルメのように曲がり縮む。同じ屋根の下でで見知った顔が酒盛りで頬を赤らめる。
骨壺にガシガシと詰められて手持ちのサイズになった私は無事埋葬され、そしてそのうち誰も自分を思い出すものはいなくなるのだ。
今書いてみるとホラーでしかないが、当時は何故かこういう想像をして元気を出していた。
元々、辛くても自殺する勇気もない人間だから、想像の中で自分の死を弄んで楽しんでいたのだ。

今は病気も治り、日々の活力にも溢れている。目標も少しずつ達成し始めて喜びもある。だが、ふとした瞬間にとてつもなく虚しくなる。それはあの土の中で過ごしているような数年間があったからだろうと思う。
溜め息をついて窓の外を見つめると、あの何も出来ないで寝ているしかなかった狭い空を、いまでも思い出すのだ。

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プロフィール

HN:
古倉 のぶ雪
性別:
男性
自己紹介:
まいにち 
かんがえたことの 
きろく

創作で漫画を描いています。
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《願望》
世の中は
いつも月夜と米の飯
それにつけても金の欲しさよ

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